NEDO&島津製作所/乳房に特化したPET装置を開発
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下NEDO)と島津製作所は、9月4日にNEDO分室(東京・千代田区)で、産官学連携のNEDOプロジェクトにより共同開発した「乳房専用PET装置」の薬事承認取得・発売についての記者会見を行った 山崎知巳氏(NEDO)は、乳房専用PET装置開発の背景・経緯を説明。「同装置は、①乳房を挟みこむタイプではないため、患者の負担軽減につながる、②乳房に検出器を近づけられるため、精度の高い画像が得られる、③女性に優しいデザイン、の3点がポイントである」と語った。
中本裕士氏(京大大学院)は、臨床現場で得た症例画像などをスライドで示して説明。「スーパー特区(先端医療開発特区)適用により、09年秋から画像の収集時間、画質など基礎的な検討を重ねてきた。術前化学療法で早期に治療効果判定ができることから、治療方針決定に役立つのではないか」と期待を述べた。
鈴木 悟氏(島津製作所・取締役専務執行役員)は、「『乳房用ポジトロン断層撮影』は保険適用されているが、全身用PETと同日検査が条件になっている。この制限を超えて単独で使用できるように道を切り開いていきたい。また、海外展開も次のステップとして考えていきたい」と展望を述べた。
井上芳浩氏(島津製作所)は、技術的な視点から、マンモグラフィ検査と違い痛みがなく3次元機能画像が得られる、乳房に特化しているため全身用PETに比べて感度10倍・空間分解能2倍の性能を持つなどの特長を挙げ、「今後は乳房画像診断分野での地位を確立し、治療薬・検査薬の開発に寄与して乳がんの早期診断・治療にも貢献したい」とまとめた。