第50回日本医学放射線学会秋季臨床大会/国際色を前面に多彩なイベントを実施
日本医学放射線学会の第50回秋季臨床大会が、9月26~28日の3日間、神戸ポートピアホテル、神戸国際会議場、神戸国際展示場(神戸市)で開催された。会長は廣田省三氏(兵庫医大)で、大会テーマは「放射線がつなぐ医療の進化」。また、今大会は16年振りに開催されるAOCR 2014(The 15th Asian Oceanian Congress of Radiology、第15回アジア・オセアニア放射線学会:杉村和朗会長)との併催となり、JRSの国際化というスローガンに沿った学会となった。
廣田氏は、AOCR 2014との共催によるオープニングセレモニーで、「AOCRとの併催ということで、アジアの放射線科医との親睦と学術交流を深めることができるプログラムを企画した。全ての参加者に楽しんでもらいたい」と挨拶。
また、AOCR 2014会長の杉村和朗氏(神戸大)は「インターネットを使った交流も盛んだが、このような学会の場を通じて、より深い交流が発展することを望んでいる」と挨拶した。
同大会では、30題におよぶ教育講演やシンポジウム5題、パネルディスカッション2題、リフレッシャーコース6演題、研修医セミナー6題、イメージインタープリテーションセッションやAOCRとのジョイントイベントなどが行われた他、50回目を記念した特別企画「秋季臨床大会50年の歩み」も行われた。
大会初日となる26日には、AOCRとのジョイントセッションとしてオープニングレクチャーが行われた。Hedvig Hricak氏(米国メモリアル・スローン・ケタリング・がんセンター)は、「From Diagnostics to Theranostics: Expanding Horizons for Imaging」を演題に講演。Therapuetics(治療法)とDiagnostics(診断法)を合わせたTheranostics(セラノスティックス:治療的診断法)について、画像診断の各種事例から、その概要について説明した。
学会場では、座長に三木幸雄氏(大阪市大)を迎えシンポジウム1「加齢の画像診断―最新情報」が行われた。三木氏は脳MRI画像で最もよく見られる白質病変について説明。次いで、阿部 修氏(日大)がMRIによる加齢の画像診断について意見を披露し、核医学の立場から石井一成氏(近畿大)が加齢の画像診断の最新事情を紹介した。
大会2日目の27日には、AOCR会場ではRSNA President LectureとしてN.Reed Dunnick氏(米国ミシガン大)が「RSNA 2014: A century of Transforming Medicine」と題して講演。今年の開催で100回目を数える北米放射線学会(RSNA 2014)の概要を紹介し、日本の放射線科医の参加を期待していると述べた。
また、学会場では特別講演「iPS細胞研究の展望」が行われ、青井貴之氏(神戸大)がiPS(induced Pluripotent Stem、人工多能性幹)細胞の概要とその技術の応用について講演した。青井氏は、iPS細胞を用いた研究だけでなく、iPS細胞の開発研究で得られた科学的知見を活用した事例についても紹介。iPS細胞研究のこれまでの展開と今後の展望について解説した。
企業展示では、約20社が展示を行ったほか、各企業によるランチョンセミナーが行われ、多くの参加者を集めた。
次回の第51回日本医学放射線学会秋季臨床大会は、岩手県盛岡市のアイーナ・いわて県民情報交流センター、マリオス・盛岡地域交流センターにて、岩手医大の江原 茂氏を会長に開催の予定である。