NEC
●「医療の課題を、ともに解きつづけ、問いつづける」をテーマに、医療界の今の3大テーマに最新技術で応える
https://jpn.nec.com/medical_healthcare/
NECのブースは、最も目立ったブースのひとつに挙げられるであろう。広いブースは、「医療安全と業務効率化の両立」「働き方改革×ICT」「健康寿命延伸×AI」の3つのエリアに分けられ、それぞれ領域でのNECの「今」の技術を紹介。好立地もあり、開催中の3日間ともまさに盛況の態を誇っていた。
●電子カルテシステム「MegaOak /iS」
記者が取材に赴いた際、まず強く推されたのが、最も目立つ位置に展示されていた電子カルテシステム「MegaOak /iS」。「医療従事者の目線に寄り添い、思いを伝える電子カルテシステム」を目指して、医師が効率よい操作で指示を登録できる仕組みや業務目線で文書管理を行って検索性を向上させる工夫など、さまざまな新しい機能により業務の効率化の支援を現実化している。具体的に代表的な機能をあげると、まず医師の思考に沿った指示出しを実現する「クリニカルデスクトップ」がある。これは、診療科や疾患ごとのプロブレムを起点とした指示ができるセット機能である。必要な指示を一画面にまとめておけるために、指示出しに淀みがなくなる期待が持てる。
また、患者情報を集約し、一元管理から利用へ繋げる(説明員の表現では“所有”から“使用”)「KeyValue」も大きなセールスポイントになっている。これは任意の保存したいデータ“Value”に対し、対応する一意の標識“Key”を設定して、これらをペアで保存するという方式=KeyValue方式を採用することにより、一度どこかで入力したならば次回からは引用情報として表示されるというものだ。つまり重複入力の非効率を避けることができ、データの二次活用も容易になる。
●地域医療連携ネットワークサービス「ID-Link」
すぐ隣には、10周年を迎えた同社の地域医療連携ネットワークサービス「ID-Link」の解説コーナーも設けられていた。現在8624施設の医療機関が利用するまでに拡大してきたという(6月30日現在)。病院に限れば全病院の15%が参加しているという。なお、「ID-Link」サーバは397台、Miniサーバは13台稼働中。2016年からはデータの保管委託を実施するようになり、センターで各種データのグラフ化も可能になり好評を博しているという。
この他に、特許出願中という「健診結果予測シミュレーション」も展示。過去の蓄積された定期健診データから導き出した健診結果予測モデルを用いて、現行の生活を継続した際の予測(疾病等)や、生活を見直した際の健康予測をするというもの。倉敷中央病院付属予防医療プラザにおいて共創活動中というが、予防医療へのひとつの解として大きく期待が持てる“仕組み”に思えた。
●「顔認証対応・再来受付精算機」/AIチャットボット「NEC自動応答」
また、NECらしく、参考出展ながら「顔認証対応・再来受付精算機」やAIチャットボット「NEC自動応答」も興味深かった。前者は記者も体験したが、同社の精緻な顔認証技術により、なりすましの防止策としては極めて有効に思えた。後者は、AIにより自然文の多彩な表現を認識し、高精度かつ高速で自動回答するという技術。医療への応用として、チャット形式での救急相談を7月19日から開始したという。「埼玉県AI救急相談」がそれで、スマホ世代に向けての新たな有望な試みであると思えた(写真はPCによるもの)。
この他、研究中のものとして、リアルタイム内視鏡診断サポートシステムも興味深かった。国立がん研究センター中央病院による所見がつけられた約5,000例の病変画像を学習用データとして使用。ディープラーニングによって、内視鏡画像上の悪性腫瘍を瞬時に特定するという技術で、その可能性に大いに期待が持てた。もちろん、同社の顔認証技術と同じ技術の応用である。