東芝メディカルシステムズ/画論 The Best Image 2015
東芝メディカルシステムズは、12月13日、東京国際フォーラム(東京・千代田区)にて「画論 The Best Image 2015」を開催した。同社の画像診断装置で描出した臨床画像の質を総合的に競う恒例のイベントで、今回で23回目を迎えた。
今回の応募総数はCT、MR、超音波の3部門合計で527件を数え、同日、最終選考画像57件の審査が行われた。午後には、CT、MR、超音波の上位入賞画像の発表・表彰式が開催された。
≪CT部門≫
興梠征典氏(産業医科大)「今回は、応募各施設が日常診療で非常に質の高い画像を扱っていることが印象に残った。それが各施設の診断レベル向上に大変寄与しているはずだ」
粟井和夫氏(広島大)「Aquilion ONEの登場から時を経て同機が普及し、臨床を刺激した結果、面白いアイデアが多数出てきている。技術的発展が臨床的応用を引き出している」
≪MR部門≫
似鳥俊明氏(杏林大)「今回は初受賞施設が多く、特に1.5テスラは半分以上に達した。これはMRI普及の証でもあり、画論の目的の1つが実を結びつつあるのではないか」
大友 邦氏(東大)「3テスラで最優秀賞の左腎細胞がん疑い症例は、将来的な広がりも含めた評価だ。例えば腎臓のびまん性の機能評価や他の臓器への応用の可能性が感じられた」
≪超音波部門≫
吉川純一氏(西宮渡辺心臓・血管センター)「毎回、勉強するばかりだ。例えば、文献にも載っていない症例を勉強させてもらうという喜びを感じながら、楽しい時間を過ごせた」
松尾 汎氏(松尾クリニック)「USにおける血管部門はまだまだ『若い』領域なので、今後の進展を期待したい。特にSMIには期待しており、血管領域でも積極的に使っていきたい」
表彰式の前には、3部門において特別講演が行われた。
CTでは、粟井和夫氏(広島大)が、「逐次近似再構成FIRSTのClinical Capability~CTのさらなる高画質化、低線量化を目指して~」について講演。主にFIRSTの臨床的特長および低線量化の可能性について論じ、「従来のFBPと比較して高分解能、低ノイズ、低アーチファクト等の特徴を有するため、低被ばく・高画質を実現できる可能性がある」と述べた。
MRでは、中村克己氏(戸畑共立病院)が、「明日から使おう! 非造影MRA~CTA、Gd-MRAとのすみわけ~」を演題に、非造影MRAにおけるFBI法とTime-SLIP法の現況、および使い分けや新たな可能性を中心に言及、した。
超音波では、小川眞広氏(日大病院)が、「肝超音波診断のNew Technology~SMIとSWE-Propagationの必要性と臨床的有用性~」を演題に、びまん性肝疾患での肝線維化の程度や肝腫瘍のありかをより高精度に診断できるSWEや、造影剤を使わずに低流速の血流を描出できるSMIなど、超音波診断の最新技術を示した。
閉会に際し、東芝メディカルシステムズの瀧口登志夫社長が、「画論を通じて得られた臨床的価値を、世界の医療現場に向けて発信する活動を今後も続けていく」と挨拶。また、2014年の画論でAquilion ONE部門の最優秀賞に輝いた佐賀県医療センター好生館が、2015年のRSNAでマグナ・クム・ラウデ賞を同じ撮影手法で受賞し、今イベントにスペシャルゲストとして参加した。