シーメンス/RSNA 2015 Flash Seminar
シーメンスヘルスケアは、2015年12月19日にTHE GRAND HALL(東京都・港区)において、「RSNA 2015 Flash Seminar」を開催した。このセミナーは、2015年11月29日~12月4日に開かれた第101回北米放射線学会(RSNA 2015)で発表されたシーメンスの新製品や最新テクノロジーについて紹介するもので、2015年12月12日から2016年1月16日にかけて全国9ヵ所(札幌・福岡・東京・名古屋・大阪・仙台・新潟・金沢・岡山)で順次開催された。
東京会場では、順天堂大学医学部附属順天堂医院 放射線部技師長の芳士戸治義氏が座長を務めた。
セミナーでは、まず、クリニカルレポートとして、東京慈恵会医科大学放射線医学講座教授の福田国彦氏が講演した。福田氏は、RSNA 2015大会長のRonald L.Arenson教授(カリフォルニア大)の基調講演の内容を紹介。加えてRSNAで氏が注目した研究発表についての紹介を行い、「ラージデータについては、3D Printingに関する展示やセッションが多く行われ、臨床のみならず教育教材としての有用性や、乳房再建術等への応用が紹介されていた」と述べた。
次にテクニカルレポートとして、金沢大学医薬保健研究域 保健学系量子医療技術学講座教授の市川勝弘氏が講演した。CT、MRI、乳房イメージング、その他のイメージングに分けて、それぞれのトピックを紹介。「CTではPhoton Counting技術が進み、実現性が近いと感じた。また、全体的にハードウェアが成熟してきたこととともに、ソフトウェアの開発も進み、新しく有効な、より安心で安全な検査が今後ますます実現していくと感じられた」と将来の展望を述べた。
RSNAのトピックに引き続き、Ultrasound、Angiography&Interventional X-ray、MI、MR、CT、Imaging IT、X-Ray Productsの各モダリティ分野に関するシーメンス製品のトピックスが報告された。
まずUltrasoundについては、2015年10月に国内発売された「ACUSON S Family HELX Evolution」を中心に、汎用機からハイエンド機に至る多彩なラインアップと新たなソリューションを紹介した。
Angiography&Interventional X-ray分野では、PUREテクノロジーによる手技のプランニングを支援する機能など、RSNAで出展・紹介された新しいソリューションについて紹介。
MI分野では、新開発の検出器とTOF(Time-of-Flight)技術を搭載。短時間で高画質のデータ収集を可能にしたPET/CTの新製品である「Biograph Horizon」を中心に、xSPECT技術などの新製品・新技術について説明した。
MRI分野では、3テスラMRI「MAGNETOM Skyra」やMR-PET「Biograph mMR」の新バージョンについて報告。新技術として脳神経領域の最新アプリケーションであるSMS(Simultaneous Multi-slice)を紹介した。
CT分野では、シーメンスのCTが登場して40年、Dual Source CTが発売されてちょうど10年というアニバーサリーイヤーということから、まず同社のCT開発の歴史を振り返り、ついで同社のフラッグシップ装置である「SOMATOM Force」の最新パフォーマンスについて紹介した。
Imaging IT分野では、各施設のモダリティが有するさまざまな診療情報を収集、解析を行うことで、モダリティの線量や使用状況、プロトコルなどのデータを参照できるクラウド・サービス「Teamplay」を紹介。さらに、syngo.viaの最新バージョンであるVB10の機能についても紹介した。
最後にX-Ray Products分野では、X線撮影の新しいスタイルを提案する撮影装置「Multitom RAX」を紹介した。現段階では日本国内医薬品医療機器法等未承認だが、ロボット技術を応用した従来とは異なる新しい撮影装置で、単なる立位や臥位だけでなく、透視撮影やDSA、コーンビームCTやトモシンセシス撮影なども可能となり、整形外科領域における新たな知見が得られるものとして期待されていると紹介した。
座長の芳士戸氏は、最後にセミナーを総括し「患者さんのためにというシーメンスの技術開発の方向性が感じられたセミナーだった。今後、さらに努力してもらい、さまざまなモダリティでイノベーションをおこしていってほしい」と述べた。