島津製作所/メディカル・ケア・サービス、ERISA、島根大学の4者で認知機能に関連する共同研究契約を締結
島津製作所、メディカル・ケア・サービス(以下「MCS」)、ERISA、国立大学法人島根大学(以下「島根大学」)の4者は、「軽度認知障害における介入アプローチと生体マーカーに関する探索的検討」(以下「本研究」)に関する共同研究契約を締結した。これに先立ち、島津製作所、MCS等5者はERISAの第三者割当増資を引き受け、7月31日に同社へ計1億4500万円を出資した。
厚生労働省によると、認知症患者は2025年には約700万人に達し、65歳以上のシニア層の約5人に1人が認知症になると言われている。それにつれて、医療費や介護費といった社会的費用も増加傾向にあり、慶應義塾大学の研究によると、日本の認知症の社会的費用は2014年時点で総額14.5兆円に上ると試算されている。特に島根県は全国に先駆けて高齢化が進展しており、この課題に対応し島根大学医学部においては認知症の予防に関する研究が早くから行われてきた。
本研究においては、介護事業者であるMCSが事業展開する有料老人ホームを拠点として、認知症予備軍と言われる軽度認知障害(MCI)の方を対象に、認知機能の改善を目的とした介入プログラムを6か月間実施する。また、介入の前後で、島根大学が長年にわたって研究対象として来たfMRI、及び島津製作所が製造販売するfNIRSによる生体マーカー計測を行い、介入効果の評価方法を開発する。本研究は、脳内の活性部位を可視化する2種類の異なる手法を用いて認知機能との相関を検証する点、及び計測・医用機器製造販売事業者、統計解析会社、介護事業者、国立大学という認知症予防の技術開発に必要な専門家が提携している点において、独自性の高い画期的な取り組みとなる。本研究により開発された認知機能改善プログラムと評価手法については、日本国内の地方自治体との連携を通じた事業化、及びMCSが事業展開する中国を始めとした世界への事業展開を3社で協力して推進する。
研究概要
・研究目的 : 本研究では認知症リスクの高い高齢者の進行予防における効果的な介入アプローチと、認知機能と相関する有用な生体マーカーの探索的検討を行う
・被検者人数 : 35名予定
・予定研究期間 : 2018年12月から2020年6月30日(約1年半)
・検査項目 : 認知機能検査、MRI検査、fNIRS検査、血液検査、等
島根大学医学部は日本で最初に脳ドック健診を導入し、一般の健診データと共に脳のMRI画像データ、認知機能データを30年間にわたって継続し蓄積してきた。また前学長の小林祥泰名誉教授は日本脳ドック学会の創設に携わり、脳ドック健診の確立と普及に努め、前医学部長の山口修平教授は同学会の理事として活躍している。2017年11月にはERISAと共同研究契約を締結して脳MRI画像を用いた認知症の早期検出技術の開発を進めている。
今回、島津製作所、MCS、とっとり地方創生ファンド、山陰合同銀行、島根銀行の5者がERISAの第三者割当増資に参加し、事業会社に加えて地域ファンド及び金融も含めて、島根県の医療資産を利用した認知症予防技術の共同開発体制を構築した。
島津製作所、MCS、ERISA、島根大学は、本研究を通じて、今後とも認知症という大きな社会的課題の解決に相互協力して取り組んでいく。
問い合わせ先=島津製作所 広報室
TEL:075-823-1110