三菱電機/液体ヘリウム不要の超電導コイルMRI技術を発表
三菱電機は、5月24日に同社本社(東京・千代田区)にて、「高温超電導コイルを搭載したMRIミニモデル」開発成果の説明会を開催した。
同装置は、液体ヘリウムが不要な高温超電導コイル方式の小型MRI試作機であり、同社は「同装置にて世界初の磁界強度3テスラでの撮像に成功した」という。同コイルの開発により、MRIにおける液体ヘリウム供給リスクに対する備えや取り扱い設備・資格、輸送申請が不要となる上、冷凍機の冷却能力緩和による省電力化(約30%を想定)などの効果が期待できるようになるという。
なお、同プロジェクトは経済産業省「高温超電導コイル基盤技術開発プロジェクト」(2013~14年度)および国立研究開発法人日本医療研究開発機構「未来医療を実現する医療機器・システム研究開発事業高安定磁場コイルシステム基盤技術の研究開発」(2015年度)が支援。京都大学がMRIミニモデル用撮像システムの構築および、高温超電導コイルの課題である磁化による磁界強度乱れの対策(解析検討)、東北大学が同対策の実測評価を担当した。
説明会では、同社先端技術総合研究所長の藤田正弘氏が挨拶。高温超電導コイル開発の背景について、「液体ヘリウムで冷却する低温超電導コイル方式が現在MRIに適用されているが、新興国の需要拡大等の理由により、将来的な枯渇が予測されること」と指摘した。
続いて同研究所の谷村泰宏氏が、開発の概要、大穀晃裕氏が開発技術の詳細について説明。大穀氏は今後の展開について、「実用化に向けて2020年度までに実機の半分サイズのMRIを試作。同機器を用いて高温超電導コイルの設計・製造基盤技術などを確立したいと考えている。また、2021年度以降に実機サイズのMRIコイルを試作し、早期の事業化を目指していく」と語った。