日立製作所/東京医科歯科大学と連携協定を締結
日立製作所は、2018年4月19日付けで「TMDU(Tokyo Medical and Dental University)オープンイノベーション制度」に基づく連携協定を、東京医科歯科大学と締結した。本年度から、難病診断支援を中心に、医療・健康分野における研究開発や事業、および人材の教育や育成等に関する取組みを戦略的かつ柔軟に実施していく。
大学の研究開発能力等を活用する「オープンイノベーション型」の産学連携が提唱されている中で、政府の成長戦略でも産業界から大学への積極的な投資が推奨されている。そのためには、従来型の共同研究の手法等を前提とした産学の連携関係を、産業界が『投資』の判断を行い得る関係の構築にまで発展させる必要がある。こうした現状や課題に対して東京医科歯科大学は、これまで複数の企業との間で「包括的な連携関係」の構築に取り組んできた経験や実績を踏まえ、2017年度に、企業との「連携の方向性」や「研究の進捗管理」についてより組織的・戦略的に関与する「TMDUオープンイノベーション制度」を発足させた。
今回の連携は、この「TMDUオープンイノベーション制度」による最初のものとなる。連携の戦略的な目標としては、「難病診断支援技術の体系化により、医療の高度化・効率化をめざす」を掲げる。その背景として、我が国の医療費が増大し、治療の費用対効果が見直されている中、診断や治療が困難な疾患(難病)の一定数が、いわゆる「一般的な疾患」の中に紛れ込み、必要以上の検査を受けている、あるいは効果が期待できない(患者のQOL向上につながらない)投薬や治療を受けているという現状がある。こうした難病のうち、一定数以上の患者が存在する疾患を早期に的確に診断することができれば、医療経済上の効果が大きいと考えられる。難病診断に関わる知見を、人工知能(AI)やICTも活用して体系化することや、診断を支援する医療機器等を開発することは、これらの疾患に関する新薬や新規治療技術等の開発に戦略的・集中的に取り組むことにつながる。
今回の連携は、両者の強みを活かして、臨床と開発が一体となった体制の構築につながるものである。