NEC/医療セミナー2018
NECは、医療セミナーを2月16日に同本社ビル(東京・港区)で開催した。
セミナーは、3つの講演と展示会で構成。講演に先立ち同社医療ソリューション事業部の中家章雄氏が挨拶し、医療サービスを支える同社のICT技術について3つの観点から紹介。①医療現場の安全・安心について、同社の電子カルテやサイバーセキュリティ技術、②医療従事者の業務支援として、同社の最先端AI技術群「NEC the WISE」、③健康・医療・介護情報について、情報連携ネットワーク技術を紹介し、「今回のセミナーで講演していただく先生方から、ICTに関する知見をさらに深めたい」と述べた。
講演1は、堀内直哉氏(内閣官房 健康・医療戦略室)が、「次世代医療基盤法と医療ICTの未来」と題して講演。政府における健康・医療戦略に関する推進体制を述べるとともに、2017年4月に成立した次世代医療基盤法の全体像とポイントについて説明。同法の施行後の進捗・展開をフォローアップするとともに、人材育成等必要な取り組みについて検討するとし、匿名加工の責任を負う認定事業者の活動状況を踏まえつつ、匿名加工医療情報の利活用を推進していくと述べた。
講演2は、熊谷雅美氏(済生会横浜市東部病院)が、「医療サービスにおける看護マネジメント」と題して講演。熊谷氏は、「看護職の人材確保・定着が病院経営に直結する」として看護職の人材育成が重要である理由を説明。そのための必要な要素として、組織への新規参入者が適応しやすい組織文化を作り上げるために職務満足度を高めることが大事であると述べ、これからの看護管理者には未来をデザインする力と、そのためのデータ分析が欠かせないとして、医療ICTの重要性を強調した。
講演3は、山本功二氏(聖隷三方原病院)が、「病院経営・病院運営から見たICTと期待する人材」と題して講演し、同院の概要について冒頭に説明。次いで、医療におけるICTの現状と、同院でのICT化への取り組みとして電子カルテ化の経緯や聖隷福祉事業団の拠点間ネットワークに地域医療連携ネットワークサービス「ID-Link」を活用していることなどを取り上げた。また、このようなICT活用のための人材育成への取り組みに関して、同事業団における独自の研修体系を説明。看護職・医療技術職からの事務部門への登用や、人事担当常務執行役員に女性を抜擢するなどの女性が活躍できる組織作りについて紹介し、それらが安定した経営基盤の構築や、外部からの高い評価につながっていると語った。
セミナー会場では、同社の医療ICT技術に関する展示も行われた。
世界有数の技術力を持つ生体認証システムと連携した院内フィジカルセキュリティソリューションを数多く出展し、顔認証システム「NeoFace KAOATO」による無断離院対策支援ソリューションや、参考展示された虹彩認証ソリューションを組み込んだ顔認証ドア開閉ユニットなどに参加者の関心が集まった。
そのほか、地域医療連携ネットワークサービス「ID-Link」については、ノート機能をスマートフォンやタブレット端末で利用できる機能を追加。医療現場のニーズに対応し、多職種間連携をより円滑に進めることが可能となっている。
また、展示会場では同社のソリューションを用いた医療現場での取り組みを紹介するミニセミナーが実施され、電子カルテ「MegaOak/iS」の紹介や、平成30年度の診療報酬改定に役立つ機能の説明が行われた。