キヤノンメディカルシステムズ/CT・MR Advanced Imaging Seminar 2018
キヤノンメディカルシステムズは、2月10日にJPタワー ホール&カンファレンス(東京・千代田区)にて、「CT・MR Advanced Imaging Seminar 2018‐超高精細/高精度CT・MRイメージングが切り拓く新しい診断」を開催した。なお、同大会の様子は、メイン会場となる東京会場のほか、札幌、仙台、大阪、那覇の全国4ヵ所のサテライト会場でも配信された。
開会挨拶で瀧口登志夫氏(同社代表取締役社長)は、「我々は、Made for Lifeのスローガンのもと、より良い医療を提供するための技術、商品、サービスを開発している。しかし、メーカーが技術を開発するだけでは技術が臨床に貢献することにはならない。日々、臨床現場で活躍される医療関係者の方々に協力いただき、技術や商品の評価をしていただくことが臨床現場で役立つものに昇華していくと考えている」と挨拶した。
Session1では、MRIに関する講演が行われ、座長に青木茂樹氏(順大)を迎えて3講演が行われた。
△「高速化イメージングの最新動向」山下裕市氏(キヤノンメディカルシステムズ)△「Deep Learning Reconstructionについて」北島美香氏(熊本大)△Initial experience with the high gradient system “GALAN ZGO”-From research to clinical use」Thomas Tourdias氏(Bordeaux Hospital University Center)
北島氏は、「ノイズ低減を目的としたDLR(Deep Learning Reconstruction)技術は、さまざまな撮像技術との併用が可能で、通常検査における撮像時間の短縮や短時間での高分解能画像撮像、定量解析の精度向上など、発展性のある技術だが、病変描出のValidationなどの課題があるので、DLRの特徴を理解した上で使用する必要がある」と述べた。
Session2-1は、CTに関する講演が行われ、横山健一氏(杏林大)を座長に迎えて3講演が行われた。
△「Aquilion Precision技術紹介」信藤康孝氏(キヤノンメディカルシステムズ)△「Aquilion Precisionの性能と物理特性」石原敏裕氏(国立がん研究センター中央病院)△「超高精細CTの臨床展開」千葉工弥氏(岩手医大病院循環器医療センター)
千葉氏は、同センターで稼働している超高精細CT「Aquilion Precision」を使用した検査について言及し、「Precisionによる検査では、冠動脈の狭窄率評価やアダムキュービッツ動脈などの細い血管の描出が向上した。ただし、当院には320列CTもあるので、冠動脈CT検査は心拍数が60以下の患者に限定して検査を行っている」と語った。
Session2-2は、引き続きCTに関する講演が行われ、新本 弘氏(防衛医大)を座長に迎えて4講演が行われた。
△「超高精細CTによる肝胆膵領域の描出~診断から治療まで」久保貴俊氏(国立がん研究センター中央病院)△「冠動脈CTの現状と超高精細CTの可能性」高木英誠氏(岩手医大病院循環器医療センター)△「Aquilion Precisionだけが写すもの(中内耳・胸部)」山城恒雄氏(琉球大)△「脳神経領域の画像診断にPrecisionがもたらすもの」村山和宏氏(藤田保健衛生大)
山城氏は、Precisionの持つ高い空間分解能を絶賛し、特に中内耳CTや胸部CTの領域について具体的な症例を示しながらその有用性を強調。「0.25㎜厚画像は、従来CTでは観察不可能だった、ごく微細な病変・正常構造物を描出でき、中内耳の画像解剖・画像診断を一新する装置である。胸部CTでも、PACSに画像を送る512マトリクスデータであっても微細病変の視認性やノイズレベル・アーチファクト等が明らかに改善している」と高く評価した。