第8回ADCT研究会/ADCTに関する最新の技術や検査法について討論
第8回ADCT研究会が1月21日に尾張一宮駅前ビル(i-ビル)シビックホール(愛知県一宮市)で開催された。当番世話人は、同研究会理事長である井田義宏氏(藤田保健衛生大)が務めた。
はじめに、共催者である東芝メディカルシステムズからの情報提供が行われ、RSNA 2016での同社の出展概要のほか、「Aquilion ONE」シリーズの最新・最上位機種である「GENESIS Edition」を紹介。また、製品化を目指している超高精細CTや、最新の画像解析ソフトで冠血流予備量比(FFR)を測定する「SURECardio CT-FFR」について説明した。
つぎに、「画論2016表彰者講演」が行われ、64~160列(心血管)部門で最優秀賞を受賞した藤代 渉氏(平塚市民病院)と、ONE部門で最優秀賞・テクニカル賞を受賞した倉持賢司氏(聖マリ医大病院)が講演を行った。
藤代氏は、「下腿の穿通枝動脈描出を目的とするニトログリセリン舌下スプレー剤を用いたCTA」と題して講演。皮弁形成術の術前CT検査において、造影剤注入時直前にニトログリセリン舌下スプレー剤を使用することによる末梢血管の拡張作用を応用し、通常のCTA検査では描出が困難な微細な穿通枝動脈を描出する検査法を紹介した。
倉持氏は、「右環指MP関節部AVM」と題して講演。倉持氏は、手から手関節を1回で撮影するための工夫として、ガントリに対して手を斜めにポジショニングし256mmの撮影範囲をカバーしたり、座位での撮影や模擬心電図波形を用いた心電同期間歇スキャンを実施するなど検査に際してのポイントを説明した。
一般演題では、4名の演者がそれぞれの施設においてADCTによる検査の改良点を紹介した。
室賀浩二氏(長野赤十字病院)は、「頭部領域で被ばくを減らすには?~当院での被ばく低減プロトコル」と題して講演し、管電流変調機構を用いた水晶体の被ばく低減と、ザイオソフト社の画像保管技術「PhyZiodynamics」と模擬心電図波形同期撮影による4D-CTの被ばく低減について説明した。
佐々木忠司氏(岩手医大循環器医療センター)は、「ADCTにおける小児医療の撮影」と題して講演。小児CTにおけるノイズや被ばく、アーチファクトを低減させる撮影技術のポイントを紹介した。
滝口京佑氏(県立静岡がんセンター)は、「ボリュームMPRによるCT下穿刺ナビゲーション」と題して講演し、CT透視におけるVolume MPRの有用性を紹介。
最後に朝倉一義氏(北九州総合病院)が、「Aquilion ONE/GENESIS Editionの使用経験」と題して講演し、ガントリのコンパクト化や、各高画質化技術について、自院での使用経験を語った。
井田氏によるADCT研究会の活動報告の後に特別企画が行われ、同企画では「The Revolution」と題して、横町和志氏(広島大)が講演した。横町氏は、GEから発表されたもう1つのADCT機能を持つ「Revolution CT」について説明した。
最後に、片田和広氏(藤田保健衛生大)を座長に迎えた特別講演では、元山貞子氏(藤田保健衛生大)が、「最新CTによる循環器領域診断」と題した講演を行った。元山氏は、循環器内科医の立場からCTによる虚血性心疾患の診断と治療において、狭心症の除外診断や急性冠症候群への診断、予測、治療の効果判定に有用であると述べ、超高精細CTの登場等、CTの進歩による冠動脈の診断能向上に期待していると話した。
同会場では、AZE、アミン/ザイオソフト、インテグラル、クオリタ、根本杏林堂、東芝メディカルシステムズの各社が、機器・システム展示を実施し、来場者の注目を集めた。
次回の第9回ADCT研究会は、2018年1月に、辻 貴裕氏(天理よろづ相談所病院)を当番世話人として大阪府で開催する予定である。