富士フイルム/和光純薬工業を買収し、ヘルスケア事業の態勢強化
富士フイルムは、2016年12月15日に丸ビルコンファレンススクエア(東京・千代田区)での記者会見において、武田薬品グループ傘下の総合試薬メーカーである和光純薬工業を買収することを発表した。
富士フイルムは、武田薬品工業との間で同社グループが保有する和光純薬工業の株式に対する株式公開買付けに対して応募する契約を締結。2017年2月27日から開始する公開買い付けに要する資金総額は、1547億円になる見込みである。なお、今回の買収に関する決済開始日は4月21日であることから、2016年度の富士フイルムホールディングスの連結業績に与える影響はない。
この買収により、富士フイルムはヘルスケア事業における大きなシナジー創出を見込んでいる。再生医療事業では、和光純薬工業の培地技術が加わることで再生医療に必要な技術要素すべてを自社グループで保有することによって、同事業の強化を図る。また、体外診断薬分野では免疫分析装置や生化学分析試薬などの製品ラインアップを充実させての海外も含めた販売推進、医薬品事業では、バイオ医薬品の開発製造受託での事業拡大も図るとしている。
ヘルスケア事業以外でも、高機能材料事業における電子材料事業や産業機材事業でさらなる事業成長を図るという。
記者会見では、同社代表取締役会長・CEOの古森重隆氏と代表取締役社長・COOの助野健児氏が出席して、買収の概要を説明した。
古森氏は、今回の買収について「富士フイルムグループのさらなる成長に向けた重要なマイルストーンになる」とコメント。助野氏は「両社の高度な技術力、競争力を活用したシナジー効果で、今回の買収に要したコストは10年強で回収できるだろう。シナジーを最大化させて、2021年度には、売上高1000億円超を目指す」とコメントした。