第44回日本磁気共鳴医学会大会/MRIの現状の把握と未来への展望を探る
日本磁気共鳴医学会は、9月9~11日に大宮ソニックシティ(さいたま市)にて、第44回日本磁気共鳴医学会大会を開催した。大会長は、新津 守氏(埼玉医科大学放射線科)で、テーマは「MRI Now and Beyond」。初日の開会式で新津氏は、平敷淳子氏(埼玉医大名誉教授)が先日急逝したことを報告し黙祷を捧げた後、「今回、全ての抄録・スライド・ポスターを英語とした。英語化は、今後避けて通れない課題である。これを機に、会員の皆さんにも英語化に取り組んでいってほしい」と挨拶した。
9日には緊急シンポジウム「クラスターレベルでの統計的推論の注意点~fMRIデータ統計解析にまつわる最近の論争を巡って」が行われ、初めに「fMRIソフトウェアに『バグ』が見つかったというのは本当か?」と題して八幡憲明氏(放医研)が講演。「バグはあったが、全てのソフトに含まれていたわけではない。むしろ空間的自己相関と滑らかさに関する仮定が不成立なのが問題。低いCDT(p=0.01)を用いたクラスターレベル推測の結果に偽陽性が含まれる可能性があり、選考論文の1割(約3500件)が相当する。今後は、解析ソフトウェアパッケージの理論的背景に関する理解を深める必要がある」とコメントした。次に「偽陽性70%はなぜ出たのか~統計的クラスター推論の解説」と題して川口 淳氏(佐賀大)は、偽陽性率が70%となった理由を説明。「偽陽性70%は、設定をきちんとやっていなかったためだ。臨床的な意味づけをきちんとすることが大事」と述べた。
次回の第45回大会は、2017年9月14~16日、栃木県総合文化センター等にて、瀬尾芳輝氏(獨協医大)を大会長に開催する予定である。