医用工学研究所/データを活用した病院経営のセミナーを開催
医用工学研究所は、7月14日にTFTビル東館(東京・江東区)で、「データから見えてくる病院運営~地域医療構想~」セミナーを開催した。
最初に特別講演の演者として塩崎英司氏(東京大)が、「国立大学病院における経営分析の取り組み紹介~42大学病院のベンチマーク分析を実現」について述べた。同氏は、本年4月に運用を開始した国立大学病院管理会計サービス「HOMAS2」のキーパーソンであり、主にシステムの更新目的と期待される効果を解説。同システムの特長を「①共通ルールの原価計算によるベンチマーク分析、②利用者(施設)別原価計算による自院の実績比較・分析」とした上で、「『HOMAS2』は、複数比較の可能性がある病院群組織、または全ての病院に経営分析ができる人材を恒久的に配置できない病院群において、かなり有効に活用できると考える」と今後の展望を語った。
続いて渡辺 優氏(メディチュア)が、「診療報酬改定と地域医療構想、データから見えてくる戦略と人材育成の重要性」をテーマに講演。同氏は、診療報酬等の動向に対応するためにデータに基づく経営改善・判断がより重要になると指摘。その後、データ分析を活かそうとした病院経営でつまづくポイントの具体例を示した上で、成功要件について「単なる分析ではなく、仮説を立てて検証し、行動して成果を確認する作業を繰り返すことが大事」と述べた。
最後に同社取締役の木寅信秀氏が、「データ中心の医療活動を支えるシステム基盤に求められるもの~患者データベースを目指して~」と題して講演。同氏はマネジメントツールとしてのDWH(データウェアハウス)の重要性を強調し、構築の際の留意点として「『医療機関資産としてのデータ』が保持されていて、誰が行っても分析結果が変わらずに、かつ発展した分析ができる環境を作ること」を挙げた。