島津製作所/遺徳を偲び恒例の「レントゲン祭」開催─今回が第102回(25.2.21)
島津製作所は、毎年ヴィルヘルム・レントゲン博士の功績を称え遺徳を偲ぶ「レントゲン祭」を博士が亡くなった翌年から催しているが、本年も命日である2月10日、本社(京都・中京区)にて第102回目を開催した。
冒頭、医用機器事業部長の園木清人氏は式辞で、次のように同社の現況を紹介。「高齢化、QOL向上への期待、医療費増大、人手不足が課題になっている一方、Ⅹ線画像診断分野でAI技術活用、自動化技術が進んでいる。当社のイメージング技術、メカトロニクスに加えてAIやIoTを活用したイメージングトランスフォーメーションにより、医療現場の負担軽減に貢献していきたい」
続いて、山本靖則社長が祭壇に向い祭詞を読み上げ、博士の功績に敬意を表して献花を行った。
記念講演は2講演。山本淳也氏(同社医療機器事業部)は「島津製作所 AI活用の取組み」を演題に講演。同社のX線撮影各装置でのAIの活用事例を紹介し、「業務効率化、医療安全、定量評価を軸に医療の質向上に貢献すべく、積極的にAI技術を活用し社会実装を進めていく」とした。
山田 惠氏(京都府立大)は、「放射線医学の課題と近未来」を演題に講演。まず、日本の医療課題について「生産性が低く、労働者の質は世界最高レベルにも関わらず患者は満足していない。その現況を海外、特に韓国と比較すると、既に日本がアジアで単独トップである時代は終わっていることが分かる。そのようになった背景には、対立を避ける対話不全、階級主義的社会、終身雇用等がある」と指摘。取り組むべきテーマとして「日本が遅れ始めたことを認識し、医師の専門分化と標準化を進めるべきだ。人材流動性も高めなくてはならない。学閥含む階級主義的なバイアスに気づき、トップは綿密な戦略を練る必要がある」とした。