キヤノン/画論 32nd The Best Imageレポート(25.1.22)
キヤノンメディカルシステムズは2024年12月15日、「画論32nd The Best Image」を開催した。「画論」は、同社製CT、MRI、US装置を用いて描出した臨床画像の撮像技術、有用性等を競う所謂コンテスト。コロナ禍明けとなる今回は、最終審査プレゼンテーション及び最終審査発表式等の様子を対面形式とオンライン配信によるハイブリッド形式での開催となった。
今回の応募総数はCT、MR、超音波の3部門合計で379件の応募があり、同日に上位入選施設38件による最終審査プレゼンテーション及び審査が行われ、特別講演の後に、上記3部門の上位入賞画像の発表が行われた。
プレゼンテーション及び最終審査後、発表式に先立ち、北川裕久氏(倉敷中央病院)による特別講演「こんな画像が こんな病理に―膵癌進展のCT画像評価」が行われた。
北川氏は、自身の専門領域であるがんの外科的治療、特にすい臓がんの根治手術について「“膵頭部癌手術は75%以上が断端陽性R1と言われていたが、緻密な読影でゼロにできる”と信じて日々の診療に取り組んでいる」と同治療に取り組む際の信念を披露。北川氏は膵がんの画像診断について、手術で切除した組織をCTによる5㎜スライス厚のaxial画像と照らし合わせられるように標本を作成して、双方を比較する取り組みを紹介した後、実際に膵頭部がん、早期膵がんの7症例のCT画像と標本の写真を比較しながらCT画像が実際の病変をどのように描出するのかを具体的に解説した。
北川氏は最後に「CT画像は正常の組織と違うという点から病変を診断するので、画像を見る際は正常組織がどのように描出されるのかを頭に叩き込んでおくことが大事」と述べた後、膵がん病変の診断に対するCT画像診断のポイントを説明した。
閉会に際し、瀧口登志夫社長が挨拶し「今年は働き方改革やタスク・シフト/シェアといったキーワードで表されるように医療を取り巻く環境が大きく変化してきた1年だった。当社でもこれらに対応したソリューションを提供するため、最新AI技術の活用に加え、撮影から解析までシームレスなワークフローを提供して、業務の効率化や迅速な診断をサポートする機能の開発を進めている」と同社におけるソリューション開発の方向性を紹介。
さらにフォトンカウンティングCTの開発について、国立がん研究センター、広島大学、オランダのラドバウド大学に加え、米国ペンシルベニア大学との共同研究を開始したと述べ、その共同研究の成果をRSNA 2024(北米放射線学会)で発表したことを報告した。
また、「これからも画像医学の発展のために、クリニカルバリューを高めるさまざまな取り組みを続けていきたい」と述べた後、「今回の画論でも、応募者の皆様の知恵やノウハウ、テクニックで、クリニカルバリューを高め、患者さんに貢献する検査結果や画像が多く示された。その知見と臨床応用技術を世界に発信していくことが当社の務めである」と同イベントの意義を強調した。
なお、画論 33rd The Best Imageは、2025年12月14日(日)に開催予定。
◆『画論32nd The Best Image』入賞施設
≪CT部門≫
◎1~160列部門 【最優秀賞】自治医科大学附属さいたま医療センター 【テクニカル賞】福岡リハビリテーション病院 【優秀賞】自治医科大学附属さいたま医療センター
◎1~160列(心血管)部門 【最優秀賞】カレスサッポロ北光記念病院 【優秀賞】秦野赤十字病院
◎Aquilion ONE部門 【最優秀賞】大阪大学大学院医学系研究科 【優秀賞】藤田医科大学ばんたね病院/札幌医科大学附属病院
◎Aquilion ONE(心血管)部門 【最優秀賞】佐賀大学医学部附属病院 【テクニカル賞】自治医科大学附属さいたま医療センター/順天堂大学医学部附属順天堂医院/仙台厚生病院 【優秀賞】札幌東徳洲会病院/順天堂大学医学部附属順天堂医院
◎Aquilion Precision部門 【最優秀賞】藤田医科大学病院 【テクニカル賞】札幌医科大学附属病院 【優秀賞】札幌医科大学附属病院
≪MR部門≫
◎1.5テスラ以下(脳神経)部門 【最優秀賞】藤田医科大学七栗記念病院 【優秀賞】慶麗会くぼた脳神経内科クリニック
◎1.5テスラ以下部門 【最優秀賞】自治医科大学附属さいたま医療センター 【テクニカル賞】千葉県済生会習志野病院 【優秀賞】為久会 札幌共立五輪橋病院/十全会 心臓病センター榊原病院/天宣会 北柏リハビリ総合病院
◎3テスラ(脳神経)部門 【最優秀賞】医翔会 札幌白石記念病院 【テクニカル賞】愛知医科大学病院
◎3テスラ部門 【最優秀賞】聖マリアンナ医科大学病院 【テクニカル賞】藤田医科大学病院 【優秀賞】さいたま市立病院 【Clinical Update賞】自治医科大学附属さいたま医療センター
≪超音波部門≫
◎血管部門 【最優秀賞】該当なし 優秀賞】東邦大学医療センター佐倉病院/九州大学病院
◎心臓部門 【最優秀賞】岡山大学病院 【優秀賞】神戸市立医療センター中央市民病院/神戸市立医療センター中央市民病院
◎腹部部門 【最優秀賞】加古川市民病院機構 加古川中央市民病院 【優秀賞】茨城県立こども病院 【優秀賞】東邦大学医療センター大森病院
◎乳腺・甲状腺・表在部門 【最優秀賞】奈良県立医科大学附属病院 【優秀賞】茨城県立こども病院