第44回医療情報学連合大会/3800名以上の参加者が「デジタルヘルスの新未来」を論じあう(24.12.20)
第44回医療情報学連合大会(第25回日本医療情報学会学術大会)が2024年11月21~24日、福岡国際会議場・福岡サンパレス(福岡市博多区)で開催された。大会長は中島直樹氏(九大)。同大会は、現地開催に加えオンライン配信を含むハイブリッド方式による開催となった。
22日に行われた開会式では、大会長の中島氏が挨拶。「今大会では多くの演題がエントリーされた上に、多くの多彩な企画セッションも準備できた。さらに、過去最大級の企業展示が行われ、充実したランチョンセミナーも多数開催することになった」と述べ、大会規模の大きさをアピールした。
開会式後には、同学会の第7回学術論文賞の表彰式が行われた。最優秀学術論文賞に選ばれた杉本賢人氏(阪大大学院)、学術論文賞に選ばれた小玉伽那氏(同)とSZE Wei Thing氏(東大大学院)が登壇して、同学会理事長の小笠原克彦氏(北大)から賞状と副賞が授与された。
以下に小誌が注目した講演等を紹介する。まず22日に開催されたランチョンセミナー 8「医療機器データ活用の課題と展望-先進の取り組みから考察する(共催:インターシステムズジャパン)」では、座長に黒田知宏氏(京大)を迎え、齊藤健一氏(同)が「『1人4役』を解消する医療デバイスモニタリングソリューション」を演題に講演。また、IRIS for Healthを利用した医療デバイスモニタリングの海外事例と国内での取り組みについて、Qi Li氏(InterSystems Corporation)が講演した。これらの講演については、小誌2月号にて講演要旨の掲載を予定している。
公募シンポジウム4「クラウド上の医療AI利用促進のためのネットワークセキュリティの現状とその課題」にも注目した。オーガナイザー/座長に宇賀神 敦氏(医療AIプラットフォーム技術研究組合)、共同座長に藤井 進氏(東北大)を迎え、6人の演者が以下演題で講演した。
▷「電子カルテ端末からの利用を見据えた医療AIサービスの開発」岡村浩司氏(国立成育医療研究センター)▷「医療機関および地域医療連携ネットワークシステムでのセキュリティの現状」中村 直毅氏(東北大)▷「医療機関ネットワークの類型化から考えるセキュリティ強化のアプローチ手法と、有効な対策ソリューションの紹介」片山 伸氏(ジェイズ・テクノロジー)▽「グループ病院でのセキュリティ対応とその課題~システム監査を中心に」福田秀樹氏(徳洲会インフォメーションシステム)▷「地域医療連携ネットワークシステムを活用したゼロトラストのニーズ調査」藤井 進氏(東北大/慶大大学院)▽「クラウド型AIサービス活用の課題と将来の展望について」宇賀神 敦氏(医療AIプラットフォーム技術研究組合、以下HAIP)
宇賀神氏の講演を紹介すると、まずHAIPの概要と同組合が取り組んでいる医療AIプラットフォームについて説明。さらに厚労化研「クラウド上の医療AI利用促進のためのネットワークセキュリティ構成類型化と実証及び施策の提言」の研究計画について解説した後、医療機関へのヒアリングを通して把握した医療ITに関する①システム管理が不十分、②システム担当者が不足、③チェックリストの活用不足、④システム監査・リスクアセスメントの取り組みが不十分、⑤IT-BCP対策への取り組みが不十分-といった課題を挙げ、これらに対する検討中の施策を説明。さらに生成AIサービスの利用に関するガイドラインの策定を紹介、HAIPによる新たな医療実現に向けた取り組みを説明した。
次回の第45回医療情報学連合大会(第26回日本医療情報学会学術大会)は2025年11月12日~15日の4日間、山下芳範氏(福井大)を大会長、木村映善氏(愛媛大)をプログラム委員長に、アクリエひめじ(兵庫・姫路市)で開催予定。