日本核医学会&日本核医学技術学会/学術総会&総会学術大会を合同開催、核医学の可能性を訴える(24.11.25)
第64回日本核医学会学術総会と第44回日本核医学技術学会総会学術大会が11月7日~9日の3日間、パシフィコ横浜 会議センター/展示ホールAで共同開催された。第64回日本核医学会学術総会の会長は橋本 順氏(東海大)、第44回日本核医学技術学会総会学術大会の大会長は森 一晃氏(虎の門病院)が務めた。大会テーマは「築く・繋ぐ・核医学Nuclear Medicine-Creation and Communication-」。
学会初日の11月7日には、両学会の会長・大会長講演が行われた。
はじめに、橋本氏が「核医学-ここに画像診断の原点を見たような気がする」を演題に講演。同氏は「40年近く核医学に取り組んできた中で、核医学の技術を基に画像診断技術が進歩してきたと感じている」と述べ、その事例として断層像の再構成技術や心電図同期撮影、血流量の定量測定などを挙げ、それからCTやMRIでも用いられるようになった技術であると説明。他にも画像統計解析や薬剤負荷、分子イメージングなどの例も取り上げ、最後にセラノスティクスについては「いずれはCTやMRIに応用されていくだろうが、感度の観点からまだ核医学には及ばない面がある」と核医学の優位性を指摘。「今後も核医学を起点に画像診断学が進展していくのではないか」と述べ、講演を締めくくった。
次いで森氏による講演「虎の門病院におけるSPECT装置と画像解析の変遷」が行われ、その中で同氏は、まず虎の門病院におけるSPECT装置の歴史を紹介。同院におけるSPECT検査の移り変わりを振り返りながら、「振り返ると、画像作成・解析はアーチファクトとの戦いの連続だった。アーチファクトを抑えた画像を作り出すことが診療放射線技師の宿命である」と述べ、次いで認知症の症例の増加から脳血流SPECTや心筋SPECTに対する今後の展望を紹介した。
両者の講演後、1964年に創設された日本核医学会の創立60周年を記念して、日本核医学会の絹谷清剛理事長、日本核医学技術学会の山本智朗 理事長、米国核医学会のCathy Sue Cutler理事長、欧州核医学会のRudi A.J.O. Dierckx理事長らが祝辞を述べた。
初日には複数の特別企画やシンポジウムが設けられたが、小誌が取材したその内の1つを紹介する。核医学会特別企画7「近未来の核医学治療」では、渡辺直史氏(阪大)が講演。最近、世界で注目されている核医学治療向け核種であるテルビウム(161Tb)や、今後の臨床展開が見込まれる核医学治療の標的「CA-IX」「TROP-2」「Nectin-4」「Glypican-1」について説明。次いで阪大等で取り組んでいるアスタチン(211At)の臨床試験や研究内容を紹介し、最後に日本での核医学治療について「未来の核医学治療を自分たちの力で創り出し、世界に発信していくことが必要である」と述べた。