がん対策推進企業アクション/セミナーリポート(24.9.21)
がん対策推進企業アクション(厚生労働省委託事業)は、8月27日、神田明神文化交流館(東京・千代田区)にて、恒例のメディア向けセミナーを開催(オンライン含)。「がん教育の意味~ヘルスリテラシー最低国からの脱出に向け」を演題に、同事業のアドバイザリーボードメンバーの中川恵一氏(東大)が講演した。
同アクションは、企業・団体のがん検診受診率アップと就労環境の改善を目指し同様のメディアセミナーを定期的に開催してきているが、今回は「子ども達へのがん教育」に焦点を当て、学校教育の中でがんについて学ぶ機会を広げる取り組みの必要性をテーマとした。
中川氏は、まず日本におけるがん罹患への対応策の問題を指摘した。
「1981年以来現在に至るまでがんは日本人の死亡原因のトップだが、がんは生活習慣と予防によって克服できる病気である。自動車の運転における安全運転とシートベルト着用の重要性が広く認識されているように、リスクに対する備えが必要であるが、未だ不十分である」
次いで、今回のテーマである学校生徒らに対するがん教育の必要性と現況を以下のように述べた。
「先進国の中で日本のヘルスリテラシーの低さと教育の後れは大きな課題だ。小中高生の段階から、飲酒、喫煙(受動喫煙)がもたらす影響や予防、検診等の知識を得るための教育を受ける必要がある。
文科省の学習指導要領にがん教育の記述はあるものの、各教育委員会、学校現場での取り上げ方は多様だ。通常授業での時間確保など学校側にも制約がある上、理科教育等にも通じる一方、現在、主に保健体育の範疇であるのには再考の余地があろう。
また、専門知識を分かり易く伝えることができる外部講師が少ないことも課題であり、学校医をはじめとする医師らの積極的な関わりに期待する。なお、こうした教育活動がその後どのような効果をもたらすか、私自身も関わり、現在全国12校1,654名を追跡調査しているが、来年3月に報告書がまとまる予定だ」