島津製作所、第一工業製薬、順天堂大学堀江教授の3者/生理活性物質の機能性解明に関する技術連携 視覚的な記憶力を維持する「ナトリード」などを研究(24.8.27)
島津製作所および第一工業製薬、順天堂大学大学院医学研究科の堀江重郎教授は、食品・医薬品に含まれる生理活性物質の機能性解明の手法に関する技術連携協定を結んだ。本技術連携では、第一工業製薬のグループ会社であるバイオコクーン研究所が独自製法で得た、カイコハナサナギタケ冬虫夏草(以下、カイコ冬虫夏草)を研究対象とする。
バイオコクーン研究所は、新規有用成分「ナトリード®」をカイコ冬虫夏草から発見しており、2021年には同成分による認知機能への関与を示唆する論文を国際学術誌『PLOS ONE』で発表した。第一工業製薬は、カイコ冬虫夏草の機能性を研究して、認知機能の改善や睡眠の質の改善、元気ホルモンとも呼ばれるテストステロンの増加などの機能性を臨床試験で確認している。
技術連携の目的は、順天堂大学の堀江教授の知見と島津製作所の分析技術を活用して、ナトリードの効果測定や作用機序の解明、機能性関与成分の同定手法の確立を進めることである。具体的には、ナトリードの抽出方法を、同社の超臨界流体クロマトグラフシステム「Nexera UC」を用いて改良する。さらに、メタボロミクスや機能性関与成分を同定する質量分析技術を活用して、カイコ冬虫夏草の機能性に関するメカニズムの解明やナトリード以外の機能性関与成分の同定に取り組む。島津製作所は技術連携を通じて、「Nexera UC」の改良やメタボロミクス用分析メソッドの開発を目指す。
島津製作所が開発した独自の健康増進プラットフォーム「SUPOFULL」は、AGEs(最終糖化産物)スコアや骨格筋指数といった日常の健康データの変化を可視化し、事業者がアドバイスを行うことで、対象者の健康意識向上を図るツールである。本技術連携では「SUPOFULL」を活用して、ナトリードを含むカイコ冬虫夏草が健康に与える影響を追跡調査する。島津製作所は、食品の品質保証や未知成分の研究を通じて、食の安全や健康寿命延伸に貢献していく。
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