第28回医療情報学会春季学術大会/令和6年度診療情報改定の加算内容を議論(24.7.22)

6月13日~15日の3日間、「第28回医療情報学会春季学術大会シンポジウム2024」が「かずさアカデミアパーク」(千葉・木更津市)で開催された。大会長は鈴木隆弘氏(千葉大学医学部附属病院企画情報部)で、テーマは「情報をつなぐ ~ゲノムから社会まで~」。

開会式直後には、緊急企画として「医療DX推進体制整備加算・診療録管理体制加算がもたらすインパクト」というセッションが設けられた。最初に登壇した中島直樹氏(九州大学)は、まず令和6年度の診療報酬改定における医療情報関連事項について説明。その内容について批判が多いことも紹介しつつ、「政府の医療DXに対する意気込みを感じる。首相を本部長とした医療DX推進本部を立ち上げると同時に工程表を公開し、ほぼその通りに推進されている。電子処方箋だけについても100億円規模の金額が計上されるなど、予算も潤沢である。しかし、マイナ保険証や電子処方箋の利用率は低い状態が続いている。医療DX政策は今後の大きな方向性と捉え医療情報学会はこれを支持しつつ、現在の混乱を治め、課題の大きい地域や医療施設への支援努力を行うべきである」と訴えた。

次いで、同大会のプログラム委員長で、緊急企画のオーガナイザーである鳥飼幸太氏(群馬大学)は、群馬大学病院における医療DXの実施事例を紹介。また、横井英人氏(香川大学)は、情報セキュリティ脅威への現実的対応を図るため、サイバーセキュリティ対策を含む診療報酬に関する医療情報学会の活動として、内科系学会社会保険連合(内保連)加盟の過程を紹介。さらにサイバーセキュリティ対策の現状として香川大学での事例と取り組みについて紹介した。また、同学会 医療情報技師育成部会の谷川琢海氏(北海道科学大学)は、医療DXを支えるヘルスケア領域のデジタル人材・DX人材の育成や配置に関する現状を説明。医療情報技師育成部会の取り組み等も併せて紹介した。

最後に総括として、医療情報学会 代表理事の小笠原克彦氏(北海道大学)が「我々の役割として、個々の技術はもちろん、トータルとして医療情報の社会デザインを考えていかなければならない。内保連に入る以上、覚悟を持って進めなければならず、診療報酬等への反映に提案するためのエビデンスを持った提案をする必要がある」と述べた。

午後には参加企業との共催によるランチョンセミナーが開催された。 このうち、小誌が注目したランチョンセミナー4(共催:インターシステムズジャパン)については、7/22発行の本誌18~21ページにて詳細を掲載している。

大会長講演では、座長に本多正幸氏(長崎大学 名誉教授)を迎え、鈴木会長が「情報をつなぐ、縦軸と横軸」と題して講演。医療情報連携の現状と医療DX、FHIRやユニバーサルパスなどの新技術による情報連携について説明。新しい技術的な進展の現状を“横方向の連携”として紹介。一方、“縦方向の連携”としてデータの継承の重要性を強調。千葉大学病院における病院情報システム更新の事例を紹介した。

なお、6月14日に行われた開会式の後には、2023年度学術奨励賞に関する表彰式が行われ、優秀口演賞3名、優秀ポスター賞2名、優秀HYPER DEMO賞1名、研究奨励賞3名が表彰された。受賞者は、以下のとおり。

▷優秀口演賞=何 勇氏(東京大学大学院)/木村善則氏(岐阜大学医学部附属病院)/諸星北人氏(昭和大学)

▷優秀ポスター賞=大石悠一郎氏(苫小牧市立病院)/田中真和氏(徳島大学大学院)

▷優秀HYPER DEMO賞=小牧祥太郎氏(鹿児島医療技術専門学校)

▽研究奨励賞=岩井志緒里氏(北海道大学大学院)/杉本賢人氏(大阪大学大学院)/西村裕樹氏(横浜けいあい眼科)

※次回の第29回日本医療情報学会春季学術大会(シンポジウム2025)は、2025年7月3日(木)~5日(土)、仙台国際センター・展示棟(仙台市青葉区)を会場に、大佐賀敦氏(東北医科薬科大学医学部 医療情報学教室)を大会長として開催の予定。


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