日本オミックス医療学会/ゲノム医療の日本の現況、世界の最先端を紹介
日本オミックス医療学会は、6月25日、東京医科歯科大学M&Dタワー(東京・千代田区)にて、「ゲノム医療の最先端 メイヨークリニックの試み~Dr.Weinshilboum氏を囲んで」を開催した。
同学会は、オミックス医療の確立を目的とし昨年秋に設立され、海外の識者を招いてのシンポジウムの開催や分科会の活動などを通じて、日本におけるオミックス医療の普及と進展を目指す。
講演に先立ち、理事の田中 博氏(東京医歯大)挨拶を述べ、「日本ではゲノム医療はまだ広まってはいないが、米国では数十の病院がすでに臨床で実践しており、広がりつつある」と今後への期待を語った。
国内講演は、まず岡崎康司氏(埼玉医大)の「ミトコンドリア病を中心としたクリノミクス」と題した同大ゲノム研究センターで行われているミトコンドリア病の原因遺伝子研究の成果紹介の講演に続いて、林崎良英氏(理研)の「オミックス科学と予防ヘルスケアの展開」と題した講演が行われた。 辻 省次氏(東大病院)は、「ゲノム医療の実現に向けて」と題とした講演の中で、同院のゲノム医療センターでの研究成果を報告するとともに日本でのゲノム医療の課題について指摘。加えて大規模疾患ゲノム解析拠点の必要性を主張し、その上で「ゲノム解析で見つかった成果が、治験につながる期待は大きい」と語った。また日本における遺伝子診断の実情を語り、そこから導き出される今後の課題についても言及した。 今回のメインとなる海外招待講演は、Richard Weinshilboum氏(メイヨークリニック)による、同クリニックでの乳がんゲノム治療研究への取り組みについて。講演の中で同氏は、同クリニックで行った140名の遺伝子の個人差とがん変異の解析から、薬剤耐性マーカーの発見に至ったと語った。