量子科学技術研究開発機構/第2回記者懇談会を開催
国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構は、4月6日に同機構東京事務所で第2回記者懇談会を開催した。同機構は、2016年4月に放射線医学総合研究所と日本原子力研究開発機構の量子ビーム部門と核融合部門が統合して発足した国立研究開発法人。記者懇談会では、発足後1年間の取り組みを総括するとともに、「量子メス」に関する研究や、同機構が新たな研究分野の立ち上げを目的に主催する「第1回量子生命科学研究会」などの最近の話題が紹介された。
はじめに同機構理事長の平野俊夫氏が、「平成28年度量子科学技術研究開発機構の活動について」と題して講演した。平野氏は同機構の概要を簡単に説明した後、同機構の戦略である「QST未来戦略2016」について説明。
次に同機構放射線医学総合研究所の白井敏之氏が、「重粒子線がん治療の現在と未来」と題して講演。放医研における重粒子線がん治療の実績と世界の現状を紹介した後、同機構が目指す「がん死ゼロ」の健康長寿社会実現に向け、生物学的効果の異なる複数のイオンを腫瘍に照射するマルチイオン照射や、超電導技術やレーザー加速技術の研究を進めることで重粒子線がん治療装置の小型化を進める量子メスの開発プロジェクトについて説明した。
同機構の島田義也氏は、「量子生命科学の胎動」と題して講演し、量子物理学および量子技術、分子生物学を融合させた「量子生命科学」を提唱。同機構における研究事例を紹介し、量子生命科学への理解を求め、今年7月25~26日に千葉県幕張市で開催を予定している「QST国際シンポジウム」について説明した。